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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第3条第4項(見積り)

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本頁では、標準引越運送約款第3条第4項(見積り)について解説しています。

標準引越運送約款第3条第4項は、引越し業者による見積料の請求について規定している条項です。

標準引越運送約款第3条第4項(見積り)の条文

第3条(見積り)

1 当店は、引越運送及びこれに附帯するサービスに要する運賃及び料金(以下「運賃等」という。)について、試算(以下「見積り」という。) を行います。

2 見積りを行ったときは、次の事項を記載した見積書を申込者に発行します。

(1)申込者の氏名又は名称、住所及び電話番号

(2)荷受人の氏名又は名称、住所及び電話番号

(3)荷物の受取日時及び引渡日

(4)発送地及び到達地の地名、地番及び連絡先電話番号

(5)運賃等の合計額、内訳及び支払方法

(6)解約手数料の額

(7)当店の名称、事業許可番号、住所、電話番号、見積り担当者の氏名及び問い合わせ窓口電話番号

(8)荷送人及び荷受人並びに当店が行う作業内容

(9)その他見積りに関し必要な事項

3 前項第5号の記載については、第3号及び第4号の事項並びに積込み、取卸し、搬出及び搬入作業、荷造り作業、開梱作業等に応じて運賃等の内容ごとに区分してわかりやすく記載します。

4 見積料は請求しません。ただし、発送地又は到達地において下見を行った場合に限り、下見に要した費用を請求することがあります。この場合には、見積りを行う前にその金額を申込者に通知し、了解を得ることとします。

5 当店は、見積りの際に内金、手付金等( 前項ただし書の規定による下見に要した費用を除く。) を請求しません。

6 当店は、見積り時に申込者に対して、この約款を提示します。

7 当店は、見積書に記載した荷物の受取日の3日前までに、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無等について確認を行います。

標準引越運送約款第3条第4項(見積り)の解説

趣旨

本項は、引越し業者が(主語は記載されていませんが、文理上明らかです)見積りをおこなう際に、原則として、利用者に対し料金を請求しない旨を規定しています。

また、ただし書きおよび後段では、事前に利用者から金額について了解を得た場合に限り、引越し業者が下見の費用を請求できることを規定しています。

「下見に要した費用」と「見積りを行う前」の注意点

本項では、費用について「下見に要した」と規定されています。これは、いわゆる「完了形」の表現であるため、本項ただし書きは、「下見に要した費用」、つまり実際に発生した費用=実費を請求できる、という趣旨であるといえます。

他方、その請求については、引越し業者は、「見積りを行う前」に申込者に通知し、了解を得ることとされています。

つまり、見積りの費用について引越し業者が利用者に通知し、了解を得るタイミングは、実際に発生した費用が判明し、かつ見積りをおこなう前=「発送地又は到達地」の到着後、見積りをおこなうまでの間ということになります。

引越し業者のための注意点:事実上費用の請求は難しい

本項により、引越し業者は、見積料を請求できません。また、事前の利用者の了解がない限り、下見の費用を請求することはできません。

この点について、特に都市部の場合は業者間の競争が激しいため、下見の費用を無料とする引越し業者が多く、一部の引越し業者が利用者に対し下見の費用の請求をしたとしても、まず断られるものと思われます。

このような事情から、よほど競争が少ない離島や山間地域でもない限り、事実上、引越し業者による下見の費用の請求は難しいものといえます。

利用者のための注意点

本項に規定する、引越し業者は見積料を請求しない、という内容は、非常に有名な内容であり、様々なウェブサイトなどで紹介されています。このような実態もあってか、実際は、まず滅多に引越し業者から見積料の請求をされることはありません。

また、引越し業者から下見の費用の請求をされた場合であっても、本項により、その請求を断ることができます。

ただ、引越し業者が下見の費用を支払わない限り見積りに応じないことも考えられます。この点について、また契約を結んでいない以上は、引越し業者にも利用者を選ぶ権利があります(いわゆる「契約自由の原則」(締結自由の原則・相手方自由の原則))。

このため、引越し業者から見積りを断られた場合は、残念ながらどうすることもできません。この場合は、素直に下見の費用を支払ってその引越し業者に見積りをおこなってもらうか、他の引越し業者に見積りを依頼することになります。

最終更新日2011年10月20日