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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第3条第5項(見積り)

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本頁では、標準引越運送約款第3条第5項(見積り)について解説しています。

標準引越運送約款第3条第5項は、引越し業者による内金や手数料の請求について規定している条項です。

標準引越運送約款第3条第5項(見積り)の条文

第3条(見積り)

1 当店は、引越運送及びこれに附帯するサービスに要する運賃及び料金(以下「運賃等」という。)について、試算(以下「見積り」という。) を行います。

2 見積りを行ったときは、次の事項を記載した見積書を申込者に発行します。

(1)申込者の氏名又は名称、住所及び電話番号

(2)荷受人の氏名又は名称、住所及び電話番号

(3)荷物の受取日時及び引渡日

(4)発送地及び到達地の地名、地番及び連絡先電話番号

(5)運賃等の合計額、内訳及び支払方法

(6)解約手数料の額

(7)当店の名称、事業許可番号、住所、電話番号、見積り担当者の氏名及び問い合わせ窓口電話番号

(8)荷送人及び荷受人並びに当店が行う作業内容

(9)その他見積りに関し必要な事項

3 前項第5号の記載については、第3号及び第4号の事項並びに積込み、取卸し、搬出及び搬入作業、荷造り作業、開梱作業等に応じて運賃等の内容ごとに区分してわかりやすく記載します。

4 見積料は請求しません。ただし、発送地又は到達地において下見を行った場合に限り、下見に要した費用を請求することがあります。この場合には、見積りを行う前にその金額を申込者に通知し、了解を得ることとします。

5 当店は、見積りの際に内金、手付金等( 前項ただし書の規定による下見に要した費用を除く。) を請求しません。

6 当店は、見積り時に申込者に対して、この約款を提示します。

7 当店は、見積書に記載した荷物の受取日の3日前までに、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無等について確認を行います。

標準引越運送約款第3条第5項(見積り)の解説

趣旨

本項は、引越し業者による、事前の金銭の請求(前項ただし書き(第3条第4項参照)の下見の費用を除く)を禁止している規定です。

本項により、引越し業者は、下見の費用を除く金銭の請求ができません。「内金、手付金等」という表現がありますが、これは、「等」という表現があるとおり、内金や手付金(民法第557条・第559条参照)のみに限定したものではなく、あらゆる名目の金銭の請求(料金等の前払いなど)を禁止したものと思われます。

ただ、本項は、主語が「当店は、」となっているとおり、引越し業者からの請求を禁止しているものであり、利用者からの申出まで禁止しているわけではありません。このため、利用者からの手付や内金の支払い、あるいは料金等の前払いまでは禁止されるものでは無いものとの思われます。

引越し業者のための注意点:金銭の請求はしない

本項により、引越し業者は、契約が成立するまでは、第3条第4項ただし書きの費用以外は、一切の金銭の請求ができないものと考えるべきです。

本項に反して利用者に手付や内金を請求した場合において、利用者からのこれらの支払いがあったとしても、本項により、いわゆる「手付契約」は成立しないものと思われます。

このため、仮にこのような形で利用者からの手付や内金の支払いがあった場合において、その利用者が契約を解約したときであっても、利用者からその手付金や内金を没収することはできません。ただし、解約手数料(第21条第1項第21条第2項)を請求することはできます。

利用者のための注意点:金銭を請求する引越し業者は利用しない

本項により、引越し業者は、契約が成立するまでは、第3条第4項ただし書きの費用以外は、一切の金銭の請求ができません。このため、引越し業者との契約が成立するまでは、原則として、一切のお金を支払う必要はありません。

本項に規定する、引越し業者は手付・内金を請求しない、という内容は、非常に有名な内容であり、様々なウェブサイトなどで紹介されています。このような実態もあってか、実際は、まず滅多に引越し業者から内金・手付の請求をされることはありません。

逆にいえば、手付・内金を請求するような引越し業者は、非常に問題がある業者であり、利用するべきではないといえます。

最終更新日2011年10月20日