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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第3条第6項(見積り)

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本頁では、標準引越運送約款第3条第6項(見積り)について解説しています。

標準引越運送約款第3条第6項は、引越し業者によるこの約款の提示について規定している条項です。

標準引越運送約款第3条第6項(見積り)の条文

第3条(見積り)

1 当店は、引越運送及びこれに附帯するサービスに要する運賃及び料金(以下「運賃等」という。)について、試算(以下「見積り」という。) を行います。

2 見積りを行ったときは、次の事項を記載した見積書を申込者に発行します。

(1)申込者の氏名又は名称、住所及び電話番号

(2)荷受人の氏名又は名称、住所及び電話番号

(3)荷物の受取日時及び引渡日

(4)発送地及び到達地の地名、地番及び連絡先電話番号

(5)運賃等の合計額、内訳及び支払方法

(6)解約手数料の額

(7)当店の名称、事業許可番号、住所、電話番号、見積り担当者の氏名及び問い合わせ窓口電話番号

(8)荷送人及び荷受人並びに当店が行う作業内容

(9)その他見積りに関し必要な事項

3 前項第5号の記載については、第3号及び第4号の事項並びに積込み、取卸し、搬出及び搬入作業、荷造り作業、開梱作業等に応じて運賃等の内容ごとに区分してわかりやすく記載します。

4 見積料は請求しません。ただし、発送地又は到達地において下見を行った場合に限り、下見に要した費用を請求することがあります。この場合には、見積りを行う前にその金額を申込者に通知し、了解を得ることとします。

5 当店は、見積りの際に内金、手付金等( 前項ただし書の規定による下見に要した費用を除く。) を請求しません。

6 当店は、見積り時に申込者に対して、この約款を提示します。

7 当店は、見積書に記載した荷物の受取日の3日前までに、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無等について確認を行います。

標準引越運送約款第3条第6項(見積り)の解説

趣旨

本項は、引越し業者による利用者に対する約款の提示義務が規定されています。

本項にもとづく約款の提示義務は、単に引越し業者の義務としての意味があるだけでなく、引越し業者と利用者との契約の成立に関わる重要な規定であるといえます。

約款による契約については、様々な議論がありますが、約款の内容が有効であるための条件(いわゆる「約款の組入れ要件」)は、次のとおりであるといえます。

  1. 両当事者がその約款を契約に使用することに合意したこと
  2. 約款使用者(=引越し業者)が契約締結時までに相手方(=利用者)にその約款を提示すること

この要件については、改正後の民法第548条の2第1項各号と同旨です。

つまり、本項にもとづいて標準引越運送約款を利用者に対し提示する行為は、上記の要件2を充たしたことになりますが、それだけでは契約が成立したものとはいえません。このため、上記の要件1を満たすために、両当事者が標準引越運送約款を使用することに合意しなければなりません。

引越し業者のための注意点:約款を提示のうえで同意を得る

本項により、引越し業者は、見積りの際に、利用者に対し、標準引越運送約款を提示しなければなりません。一般的には、見積書と併せて(または見積書の裏面に印刷するなどして)利用者に提示することが多いようです。

この点について、特に提示の方法は限定されていません。このため、電話やメールなどで見積りをおこなった場合は、電話でホームページの標準引越運送約款を案内したり、メールに標準引越運送約款へのリンクを記載したりすることにより提示する方法であっても差し支えないものと思われます。

なお、すでに述べたとおり、約款は、単に提示するだけでは契約条件としては有効とならない可能性があります。このため、利用者から何らかの形(サインやメールの送信など)で、標準引越運送約款を契約内容として使用することに同意してもらう必要があります。

利用者のための注意点:必ず約款の内容を確認する

標準引越運送約款は引越し業者との契約条件ですので、当然ながらその内容を確認する必要があります。各条項については、このサイトなどをご欄のうえ、確認してください。

この点について、見積書の裏面などに印刷された標準引越運送約款は、文字が小さく、読みづらい場合があります。このような場合は、その引越し業者のホームページで確認する方法もあります。

なお、国土交通省でも標準引越運送約款は公開していますので、こちらを参考にすることも検討してください(ただし、レイアウトの関係で、若干見辛いです。http://www.mlit.go.jp/common/000021071.pdf参照)。

最終更新日2011年10月20日