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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第5条(連絡運輸又は利用運送)

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本頁では、標準引越運送約款第5条(連絡運輸又は利用運送)について解説しています。

標準引越運送約款第5条は、引越し業者による運送の下請負について規定している条項です。

標準引越運送約款第5条(連絡運輸又は利用運送)の条文

第5条(連絡運輸又は利用運送)

当店は、荷送人の利益を害しない限り、引き受けた荷物の運送を他の運送機関と連絡して、又は他の貨物自動車運送事業者の行う運送若しくは他の運送機関を利用して運送することがあります。

標準引越運送約款第5条(連絡運輸又は利用運送)の解説

趣旨

本条は、引越し業者が、荷物の運送を下請負することができる旨を規定しています。

引越しによる荷物の運搬は、引越し業者がすべての作業を自社で一貫しておこなう場合と、一部または全部の作業を外部の運送業者に下請けする場合があります。本項は、後者について規定しています。

具体的には、長距離の移動が伴う引越しにおいて、荷物の搬出と搬入については引越し業者がおこない、移動については他の運送業者のトラック、鉄道、飛行機、船などを利用する場合が考えられます。

引越し業者のための注意点:下請業者の事故に注意

本条にもとづき、引越し業者は、下請業者を利用して引越しをおこなうことができます。そのこと自体は、引越し業者にとっては、格別重要ではありません。問題は、下請業者のサービスの質です。

単に運送のみを下請けする場合は、特に大きな問題はありませんが、トラックへの積み込みまで任せる場合は、事故の原因となる可能性がります。

この点について、特に繁忙期には、トラックが足りず、やむを得ず下請業者を使わなければならないことがあります。この場合、下請業者が普段は引越し作業をおこなっていない物流業者であれば、いわば未経験者と同然であるといえます。

いうまでもなく、引越しの荷物は様々な形をしており、これらをトラックに積み込む作業は、技術と経験が必要な作業です。普段積み込みやすいダンボールの荷物ばかり扱っている物流業者にとっては、そう簡単な作業ではありません。

このため、下請業者の作業により、荷物の落下、荷崩れ、食器の損壊、(ダンボールを立てることによる)和服のシワなど、様々な事故が発生する可能性があります。

このような場合であっても、引越し業者は、利用者に対して、元請業者として補償などの責任を負わなければなりません。このため、下請業者の利用は慎重であるべきです。

利用者のための注意点:下請業者の事故に注意

引越し業者の利用者にとっては、本条は非常に重要な規定です。

利用者としては、引越し業者のブランドや技術を信用して利用することもあります。それにもかかわらず、本条により、その引越し業者ではなく、下請業者が作業をおこなうことがあります。

このような場合であっても、下請業者が無事に作業をしてくれれば問題ではありませんが、実際は、下請業者の技術不足・経験不足が原因で事故が発生することがあります。

このため、引越し業者による下請業者の利用が増える繁忙期(2月後半から5月の連休明けまで・8月から9月)は、特に注意が必要です。なお、どうしても下請業者に作業してもらいたくない場合は、見積りの段階でその旨を引越し業者の営業員に伝えておくべきです。

最終更新日2011年10月20日