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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第11条第2項(引渡しができない場合の措置)

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本頁では、標準引越運送約款第11条第2項(引渡しができない場合の措置)について解説しています。

標準引越運送約款第11条第2項は、第11条第1項の請求および荷物の処分の費用負担について規定している条項です。

標準引越運送約款第11条第2項(引渡しができない場合の措置)の条文

第11条(引渡しができない場合の措置)

1 当店は、荷受人又は代理受取人(以下「荷受人等」という。)を確知することができないとき、又は荷受人等が荷物の受取を怠り若しくは拒んだとき、若しくはその他の理由によりこれを受け取ることができないときは、遅滞なく荷送人に対し、相当の期間を定め荷物の処分につき指図を求めます。

2 前項に規定する指図の請求及びその指図に従って行った処分に要した費用は荷送人の負担とします。

標準引越運送約款第11条第2項(引渡しができない場合の措置)の解説

趣旨

本項は、第11条第1項の請求および荷物の処分の費用が荷物の搬出に立ち会った利用者(=荷送人)の負担であることを規定しています。

指図の請求に要した費用とは

本項の「指図の請求」に要した「費用」とは、第11条第1項により、引越し業者が荷送人に求めた、荷物の処分についての指図に要した費用のことです。

具体的には通信費などが考えられますが、あまりに小額であるため、現実的には荷送人に請求されることはないものと思われます。

ただし、荷送人が音信不通である場合は、公示送達(民法第98条参照)により荷送人に指図を求めることもありえます。この場合は、荷送人に費用負担の請求がある可能性もあります。

指図に従って行った処分に要した費用とは

本項の「指図に従って行った処分に要した費用」とは、実際に荷送人からの指図があった場合における、指図の内容にもとづく費用です。

例えば、一時引越し業者や倉庫業者の倉庫に取り置く場合の追加料金、荷物を送り返してもらうための費用、荷物を他の場所に転送する場合の費用、荷物を処分する場合の費用が考えられます。

引越し業者のための注意点:指示による費用は荷送人負担

引越し業者としては、本項により、荷送人に対して費用の請求ができます。このため、理屈のうえでは、指示の請求や指示にもとづく処分により、損害が発生することはありません。

ただ、現実には、本当に荷送人が費用を負担してくれるか、また、荷送人から費用の回収ができるかどうか、という問題があります。このため、実際に指示を請求したり、指示にもとづく処分をおこなう場合は、慎重な対応が求められます。

利用者のための注意点:荷送人となった場合は要注意

第11条第1項に該当するような事態は滅多にありませんが、このような事態が発生した場合において、荷物の搬出に立ち会っていたときは、荷送人として、本項にもとづく費用の負担義務が発生します。このため、荷送人と受取人が異なる場合において、荷送人となったときは、本項に該当することがないよう、注意を要します。

そもそも、第11条第1項に該当するような、受取人の音信不通・荷物の受取拒否などがなければ、本項による費用負担は発生しません。このため、荷送人としては、受取人と連絡を密にとって、受取人が音信不通になったり、受取拒否をしないようにするべきです。

最終更新日2011年10月20日