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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第19条第4項(運賃等の収受)

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本頁では、標準引越運送約款第19条第4項(運賃等の収受)について解説しています。

標準引越運送約款第19条第4項は、運賃等の変更により見積書と異なる金額となった場合における料金の修正について規定している条項です。

標準引越運送約款第19条第4項(運賃等の収受)の条文

第19条(運賃等の収受)

1 当店は、荷物を受け取るときに見積書に記載された支払方法により、荷送人から運賃等を収受します。

2 当店は、次の事項を記載した請求書に基づき運賃等を請求します。

(1)運賃等の請求相手方の氏名又は名称、住所及び電話番号

(2)発送地及び到達地の地名、地番及び連絡先電話番号

(3)運賃等の合計額及びその内訳(運賃等の内容ごとに区分してわかりやすく記載します。)

(4)当店の名称、住所、電話番号及び問い合わせ窓口電話番号

(5)その他運賃等の収受に関し必要な事項

3 前項各号について、当店は見積書に記載した内容に準拠して記載します。ただし、見積りを行った後に当該内容に変更が生じた場合は、当該変更に応じて所要の修正を行います。

4 前項ただし書の場合において、変更が生じた結果、実際に要する運賃等の合計額が見積書に記載した運賃等の合計額と異なることとなった場合の修正については、次の各号に基づき行います。

(1)実際に要する運賃等の合計額が見積書に記載した運賃等(以下「見積運賃等」という。)の合計額より少ない場合 実際に要する運賃等の合計額及びその内容に修正します。

(2)実際に要する運賃等の合計額が見積運賃等の合計額を超える場合 荷送人の責任による事由により見積運賃等の算出の基礎に変化が生じたときに限り、実際に要する運賃等の合計額及びその内容に修正します。

5 当店は、第1項の規定にかかわらず、荷物を引き渡した後に荷受人等から運賃等を収受することを認めることがあります。この場合においては、第2項から前項までの規定を準用します。

標準引越運送約款第19条第4項(運賃等の収受)の解説

趣旨

本項は、運賃等の変更があった場合における、見積書記載の料金の修正について規定しています。

引越し業者は、運賃等に変更があった場合、その金額が見積書の金額より少なくなった場合(下記1)と、多くなった場合(下記2)に応じて、それぞれ次のように修正しなければなりません。

  1. 変更後の実際の運賃等が見積書の運賃等の金額よりも少ない場合は、変更後の実際の運賃等に値引きして修正する
  2. 変更後の実際の運賃等が見積書の運賃等の金額よりも多い場合は、荷物を搬出する際に立ち会った利用者(=荷送人)の責任による事由で運賃等が変更されたときに限って、変更後の実際の運賃等に値上げ(=料金を追加)して修正する

上記2は、逆に解釈すれば、引越し業者の責任による事由で運賃等が変更されたときは、引越し業者は、利用者に対して値上げして(=料金を追加して)請求できないことになります。

引越し業者のための注意点:安易な値上げはできない

すでに述べたとおり、引越し業者が値上げして(=料金を追加して)請求できるのは、あくまで利用者側に責任がある場合のみです。この場合以外は、利用者に対して、値上げして(=料金を追加して)請求することはできません。

このため、営業員の見積りミスで、トラックに荷物が積みきらなかった場合などであっても、勝手に値上げ(料金の追加)はできません。

他方、引越し業者の見積りが甘かったり、引越し業者のミスによって実際の運賃等が安くなった場合は、その差額を値引きしなければなりません。

例えば、2トントラックと1.5トントラックで引越しをおこなったところ、引越し業者の営業員の見積りミスで、2トントラックだけで荷物が収まった場合、1.5トントラックの分の料金は値引きしなければなりません。

また、同様に、作業員の人数を4人で見積りをおこなったところ、当日に1人の作業員が休んでしまい、結果として終日3人の作業員で作業をした場合は、1人分の人件費を値引きしなければなりません。

このように、営業員の甘い見積りなどを含め、実際の運賃等が少なくなった場合は、引越し業者の責任の有無に関係なく、値引きの対象となります。

利用者のための注意点:値引きは正当な権利

すでに述べたとおり、引越し業者が値上げして(=料金を追加して)請求できるのは、あくまで利用者側に責任がある場合のみです。このため、引越し業者の都合で、勝手に値上げしたり料金を追加したりして請求することはできません。

また、いかなる理由であっても、実際の運賃等が見積りの金額よりも安かった場合は、引越し業者は、本項第2号により値引きしなければなりません。このように、約款上は、値引きは利用者の正当な権利なわけですから、堂々と主張してください。

なお、一般的に、運賃等が安くなる可能性がある事例は、以下のとおりです。

  1. トラックの過剰配車(2トントラック1台で済む荷物に2トントラック1台+1.5トントラックが配車された場合)
  2. 作業員の不測(4人の作業員の予定が3人しか来なかった場合)
  3. 高速道路の不使用(高速料金が請求されているにもかかわらず高速道路を使っていない場合)
  4. 過剰資材(資材が余った場合)
最終更新日2011年10月20日