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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第19条第5項(運賃等の収受)

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本頁では、標準引越運送約款第19条第5項(運賃等の収受)について解説しています。

標準引越運送約款第19条第5項は、第19条第1項に規定する支払期限の特約について規定している条項です。

標準引越運送約款第19条第5項(運賃等の収受)の条文

第19条(運賃等の収受)

1 当店は、荷物を受け取るときに見積書に記載された支払方法により、荷送人から運賃等を収受します。

2 当店は、次の事項を記載した請求書に基づき運賃等を請求します。

(1)運賃等の請求相手方の氏名又は名称、住所及び電話番号

(2)発送地及び到達地の地名、地番及び連絡先電話番号

(3)運賃等の合計額及びその内訳(運賃等の内容ごとに区分してわかりやすく記載します。)

(4)当店の名称、住所、電話番号及び問い合わせ窓口電話番号

(5)その他運賃等の収受に関し必要な事項

3 前項各号について、当店は見積書に記載した内容に準拠して記載します。ただし、見積りを行った後に当該内容に変更が生じた場合は、当該変更に応じて所要の修正を行います。

4 前項ただし書の場合において、変更が生じた結果、実際に要する運賃等の合計額が見積書に記載した運賃等の合計額と異なることとなった場合の修正については、次の各号に基づき行います。

(1)実際に要する運賃等の合計額が見積書に記載した運賃等(以下「見積運賃等」という。)の合計額より少ない場合 実際に要する運賃等の合計額及びその内容に修正します。

(2)実際に要する運賃等の合計額が見積運賃等の合計額を超える場合 荷送人の責任による事由により見積運賃等の算出の基礎に変化が生じたときに限り、実際に要する運賃等の合計額及びその内容に修正します。

5 当店は、第1項の規定にかかわらず、荷物を引き渡した後に荷受人等から運賃等を収受することを認めることがあります。この場合においては、第2項から前項までの規定を準用します。

標準引越運送約款第19条第5項(運賃等の収受)の解説

趣旨

本項は、第19条第1項に規定する支払期限とは別に、特約で支払期限を定めることができる旨を規定しています。

本項により、引越し業者は、第19条第1項の「荷物を受け取るとき」ではなく、「荷物を引き渡した後に」、荷物の搬入に立ち会った利用者など(=荷受人等)からの運賃等の支払いを認めることができます。

この場合は、第19条第2項から第19条第4項までの規定に準じた取扱いをします。

本項では、「荷物を引き渡した後に」となっていますが、引越し業者と利用者との合意があれば、「荷物を受け取るとき」以降の別の時点(荷物の受け取った時点=荷物の搬出作業が完了した時点など)を支払期限にしたとしても、特に問題はありません。

いわゆる「期限の利益」

本項は、いわば支払期限の延長を認めた特約です。支払期限は、債務者である利用者にとっては、いわゆる「期限の利益」(民法第136条第1項)です。

この点について、支払期限を延長するということは、支払いを猶予するということであり、引越し業者が利用者に対して一方的に利益を与えることです。

このようなことは、わざわざ約款に規定するまでもなく、当然にできることです。

引越し業者のための注意点:利用者には説明しておく

第19条第1項と本項において、支払期限が規定されていますが、実際は、利用者との合意があれば、「荷物を受け取るとき」以降の別の時点であれば、自由に支払期限を設定することができます(ただし、内金・手付金の請求を除く。第3条第5項参照)。

もっとも、事故があった場合に、利用者から「補償があるまで料金は払えない」と主張される可能性があるため、一般的な引越し業者は、荷物の搬出作業を始める前、遅くとも荷物の搬出作業が終わった時点で、運賃等の支払いを受けます。

いずれの時点に支払期限を設定したとしても、利用者とのトラブルを避けるため、見積りの時点でよく説明しておくべきです。特に、第19条第1項の支払期限であった場合、約款のとおりだからといって、何も説明していなければ、利用者が現金を用意していない、ということになりかねません。

いくら約款上は問題がないとはいえ、これでは利用者との間でトラブルになる可能性もあります。

利用者のための注意点:営業員によく確認しておく

引越しの料金の支払期限は、第19条第1項により、原則として荷物の搬出作業の開始前です。ただ、本項により、引越し業者が認めた場合は、荷物の搬入作業の終了後であっても差し支えありません。

ただ、支払いの時期に関しては、引越し業者によりまちまちであり、必ずしも搬出作業開始前や搬入作業終了後に請求されるとは限りません。このため、支払期限については、見積りの段階で営業員によく確認しておくべきです。

支払期限は見積書の記載事項となっていないため、引越し業者の側も、説明を忘れがちですので、よく確認してください(第3条第2項参照)。

最終更新日2011年10月20日