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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第28条(連絡運輸又は利用運送の際の責任)

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本頁では、標準引越運送約款第28条(連絡運輸又は利用運送の際の責任)について解説しています。

標準引越運送約款第28条は、引越し業者が負担するべき他の事業者による運送の責任について規定している条項です。

標準引越運送約款第28条(連絡運輸又は利用運送の際の責任)の条文

第28条(連絡運輸又は利用運送の際の責任)

当店が他の運送機関と連絡して、又は他の貨物自動車運送事業者の行う運送若しくは他の運送機関を利用して運送を行う場合においても、運送上の責任は、この運送約款により当店が負います。

標準引越運送約款第28条(連絡運輸又は利用運送の際の責任)の解説

趣旨

本項は、引越し業者が負担するべき他の事業者による運送の責任を規定しています。

引越し業者が自社単独ではなく、次のような方法で引越しをおこなった場合であっても、その運送上の責任は、この標準引越運送約款により、その引越し業者がおこなわなければなりません。

  1. 他の運送機関と連絡する方法
  2. 他の貨物自動車運送事業者(いわゆる運送業者など)のおこなう運送を利用して運送をおこなう方法
  3. 他の運送機関(貨物列車、飛行機、船など)を利用して運送をおこなう方法

本項でいう「連絡して」の意義は必ずしも明らかではありませんが、鉄道事業法に規定する「連絡運輸」等が該当するものと思われます。また、「利用して」とは、貨物利用運送事業として、という意義であるものと考えられます。

本項は、1件の引越しに複数の事業者が関わった場合に、その責任を引越し業者に一本化することにより、利用者の補償交渉の負担を軽減した規定です。

引越し業者のための注意点:補償交渉の窓口にならなければならない

本項により、他の鉄道事業者や貨物自動車運送事業者がおこなった運送上の責任については、引越し業者は、これらの事業者に代わって、利用者に対して直接負わなければなりません(その後のこれらの事業者に対する求償については、別問題です)。

このため、引越し業者としては、自身がおこなったわけでもない運送について、利用者に対して責任を負わなければならないことになります。このため、そもそも事故を起こしやすいような事業者との連携や、事業者の運送の利用は、なるべく避けるべきです。

また、他の事業者と連携がしっかりと取れていないと、事故が発生した際の情報の収集がはかどらず、結果として補償交渉が難航する可能性があります。このため、事故が起こった際にしっかりと対応してもらう事業者だけを相手にするべきです。

利用者のための注意点:補償交渉は一括して引越し業者へ

本項により、引越しの作業にどれだけ多くの事業者が関わっていようとも、運送上の事故が起こった場合は、引越し業者が窓口となって補償交渉をおこないます。このため、利用者としては、いちいち複数の事業者を相手に補償交渉をおこなう必要はありません。

最終更新日2011年10月20日