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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第8条第3項(荷物の種類及び性質の確認)

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本頁では、標準引越運送約款第8条第3項(荷物の種類及び性質の確認)について解説しています。

標準引越運送約款第8条第3項は、第8条第2項の荷物の点検の損害の負担について規定している条項です。

標準引越運送約款第8条第3項(荷物の種類及び性質の確認)の条文

第8条(荷物の種類及び性質の確認)

1 当店は、荷物を受け取る時に、第4条第2項各号に掲げる荷物、貴重品(第4条第2項第1号及び第3号に掲げるものを除く。)、壊れやすいもの(パソコン等の電子機器を含む。第24条第2項において同じ。)、変質若しくは腐敗しやすいもの等運送上特段の注意を要するものの有無並びにその種類及び性質を申告することを荷送人に求めます。

2 当店は、前項の場合において、その種類及び性質につき荷送人が告げたことに疑いがあるときは、荷送人の同意を得て、その立会いの上で、これを点検することができます。

3 当店は、前項の規定により点検した場合において、荷物の種類及び性質が荷送人の申告したところと異ならないときは、このために生じた損害を賠償します。

4 第2項の規定により点検した場合において、荷物の種類及び性質が荷送人の申告と異なるときは、点検に要した費用は荷送人の負担とします。

標準引越運送約款第8条第3項(荷物の種類及び性質の確認)の解説

趣旨

本項は、第8条第2項の点検にもとづく引越し業者の損害賠償について規定してます。

第8条第2項の点検の結果、その荷物の種類・性質が利用者の申告(第8条第1項参照)のとおりであった場合、引越し業者は、点検によって生じた損害を負担することになります。

具体例

本項は、例えば、梱包された絵画などがあった場合に、その絵画を点検するような状況が該当します。

引越しの荷物の中に、明らかに絵画とわかるように梱包された荷物があった場合、一般的な引越し業者は、利用者に対し、その内容の申告を求め、場合によっては点検も求めます。

この際、利用者が「趣味で自分が描いた絵だから、そのまま運んで欲しい」と申告したとしても、状況(例えば富裕層の利用者の場合など)によっては、引越し業者の作業員としては、中身の絵画を点検せざるを得ません。

このような場合、実際に梱包を解いたところ、本当に利用者が描いた絵画であったときは、本項により、引越し業者は、その損害を賠償しなければなりません。

例えば、梱包を解いた際に絵画の額縁にキズをつけてしまった場合は、引越し業者は、そのキズの修復の費用を負担しなければなりません。

なお、当然ながら、再度梱包する費用や責任も引越し業者の負担となります。

引越し業者のための注意点:点検は慎重に

引越し業者としては、現場の状況によっては、第8条第2項の点検をしなければならない場合もあります。

この点検の際、本項による損害の負担のリスクがあるため、点検は慎重におこなわなければなりません。

このような事情があるため、荷物を点検せずに、虚偽の申告の場合は免責されるように利用者と交渉したうえで、(なるべく確認書にその旨をサインしてもらってから)荷物を運ぶことも検討するべきです。

なお、明らかに怪しい荷物であるにもかかわらず、本条の損害賠償を避けるために第8条第2項の点検をおこなわなかった場合は、その荷物について事故があったときは、その事故の損害を賠償しなければならない可能性があります(第8条第2項参照)。

このため、怪しい荷物については、慎重に点検をするか、またはあらかじめ利用者に免責してもらったうえで運ぶようにしてください。

利用者のための注意点:堂々と点検を受ける

利用者としては、事前の申告(第8条第1項参照)と荷物が異ならないのであれば、本項により、特に負担が発生するわけではありません。このため、堂々と点検を受けるべきです。

なお、事前の申告が虚偽であったり、荷物がよくわからなかった場合は、第8条第4項により、引越し業者から費用負担を求められる可能性があります。

最終更新日2011年10月20日