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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第10条第1項(荷受人が不在の場合の措置)

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本頁では、標準引越運送約款第10条第1項(荷受人が不在の場合の措置)について解説しています。

標準引越運送約款第10条第1項は、荷物を受け取る際に、利用者本人が不在である場合の引越し業者が取る措置について規定している条項です。

標準引越運送約款第10条第1項(荷受人が不在の場合の措置)の条文

第10条(荷受人が不在の場合の措置)

1 荷受人が見積書に記載した引渡日に引渡先に不在のおそれのある場合には、あらかじめ荷送人に対し、荷受人に代わって荷物を受け取る者(以下「代理受取人」という。)の氏名及び連絡先の申告を求めます。

2 荷受人が見積書に記載した引渡日に不在であった場合には、当該代理受取人に対する荷物の引渡しをもって荷受人に対する引渡しとみなします。

標準引越運送約款第10条第1項(荷受人が不在の場合の措置)の解説

趣旨

本項は、利用者本人が荷物の引渡し(=搬入)の際に不在であるおそれがある場合における(明文で規定されていませんが)引越し業者の取るべき措置と、これに対する利用者の対応について規定しています。

通常、引渡しには、利用者本人が立ち会うことになりますが、急病や事故などのやむを得ない事情で、引渡日に立ち会うことができない場合もありえます。このような場合は、本項により、引越し業者が、利用者に対し、利用者本人に代わって荷物を受け取る受取代理人の申告を求めます。

なお、利用者本人からの受取代理人の申告がなかった場合は、第11条第1項以下の措置が取られます。

引越し業者のための注意点:必ず利用者本人の連絡先を確保しておく

通常の引越しでは、本項のような事態はあまりありませんが、利用者本人の急病、事故、天災、交通渋滞など、イレギュラーが発生した場合は、本条により、利用者から受取代理人を申告してもらう必要があります。

このような事態になった場合は、利用者本人との連絡が密にできるかどうかが重要となりますので、携帯電話等の連絡先を間違いなく確保しておくことが必要となります。

この点について、夫婦や家族の引越しの場合は、一人だけの連絡先だけではなく、複数の連絡先を確保しておくことも検討するべきです。また、単身者(特に学生)の場合は、利用者本人との連絡が取れなくなることも考えられますので、場合によっては、実家の連絡先も把握しておく必要もあります。

なお、そもそも利用者本人が不在の場合の対応を、利用者自身が把握しておらず、結果として、受取代理人を申告することができなくなることも考えられます。特に、長距離の引越しの場合は、引渡先に受取代理人になるべき人が誰もいないことも考えられます。

このような事態を防ぐためにも、引越し業者としては、見積りの段階で、本項の利用者が不在となった場合の措置について、あらかじめ説明しておくべきです。

利用者のための注意点:緊急事態に備えて受取代理人の候補を考える

利用者が急病、事故、天災、交通渋滞などの緊急事態に巻き込まれた場合は、本条により、引越し業者に対して、受取代理人を申告する必要があります。

この場合、受取代理人がいないときは、第11条第1項以下の措置が取られます。この措置は、いずれのものの追加料金が発生する可能性がありますし、最悪の場合荷物が競売によって処分される可能性もあります。

このため、緊急事態が発生した場合に受取代理人の候補がいない、ということがないように、受取代理人の候補をあらかじめ考えておくべきです。特に、長距離の引越しの場合は、引渡先(=荷物の搬入先)には知人が一人もいないことがあります。このような場合は、親族などにお願いすることも検討しておくべきです。

なお、この際、受取代理人が荷物の配置を知らないと困りますので、引越し業者と、なるべく受取代理人には、荷物の配置が描かれた図面などを渡しておくべきです。

最終更新日2011年10月20日