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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第14条第2項(指図に応じない場合)

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本頁では、標準引越運送約款第14条第2項(指図に応じない場合)について解説しています。

標準引越運送約款第14条第2項は、第14条第1項により、引越し業者が第13条第1項の指図を拒否した場合における引越し業者の通知義務について規定している条項です。

標準引越運送約款第14条第2項(指図に応じない場合)の条文

第14条(指図に応じない場合)

1 当店は、運送上の支障が生ずるおそれがあると認めるときには、前条第1項の規定による荷送人の指図に応じないことがあります。

2 当店は、前項の規定により指図に応じないときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

標準引越運送約款第14条第2項(指図に応じない場合)の解説

趣旨

本項は、第14条第1項にもとづいて、引越し業者が荷物の搬出に立ち会った利用者(=荷送人)からの第13条第1項の指図を断った場合に、引越し業者がその旨を荷送人に通知すべき旨を規定しています。

引越し業者は、第14条第1項により、荷送人からの、荷物の運送の中止、返送、転送その他の処分についての指図(第13条第1項参照)に応じないことができます。

この際、本項により、引越し業者は、荷送人に対して、遅滞なく指図に応じない旨を通知しなければなりません。

遅滞なくとは

本項における「遅滞なく」とは、正当な理由がある場合に限り、多少の遅れが許されるものの、そうでない場合はすぐに、という意味です。

このため、引越し業者は、第13条第1項の指図を断った場合は、何らかのやむを得ない事情によって通知することができないときを除いて、すぐに荷送人に対して、この指図を断った旨を通知しなければなりません。

引越し業者のための注意点:緊急事態につき必ず通知する

第13条第1項の荷送人の指図は、荷物の搬出が終わってから、荷物の搬入がおこなわれるまでの間におこなわれます。ということは、通常の引越しであれば、長期間の保管を含むサービスでもない限り、ごく短時間(せいぜい数日)の間に指図が出されることになります。

この短時間の間に本来の事情が変わって、荷送人が荷物の運送の中止、返送、転送その他の処分についての指図(第13条第1項参照)をおこなうということは、緊急事態であることが予想されます。

このような緊急事態では、連絡を緊密に取ることが求められます。このため、荷送人の指図を断るにしても、すぐに通知をするべきです。そうしなければ、本項に違反することはもとより、利用者からのクレームに繋がる可能性があります。

利用者のための注意点:こちらからも積極的に連絡を取る

荷送人が荷物の運送の中止、返送、転送その他の処分についての指図(第13条第1項参照)をおこなうということは、当初の予定が変わったということであり、一般的には、緊急事態であることが予想されます。

このような事態では、引越し業者が指図に従うにしても、指図を断るにしても、結論をはっきりさせて、その結論の内容に応じて、早く行動に移さなければなりません。

ところが、引越し業者は、場合によっては、現場のスタッフやトラックのドライバーと支店との連絡が取りづらいこともあり、なかなか本項による通知がこないこともあります。

特に、長距離の引越しの場合でトラックが下請業者のときは、搬出先の支店、搬入先の支店、下請業者の事務所、下請業者のドライバーなど、当事者が複数出てきて、連絡体制が混乱することもあります。

このため、本項による引越し業者からの通知をあてにせずに、利用者の側からも、積極的に(ただし引越し業者の業務の妨げにならない程度に)連絡を取るべきです。

最終更新日2011年10月20日