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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第15条第4項(事故の際の措置)

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本頁では、標準引越運送約款第15条第4項(事故の際の措置)について解説しています。

標準引越運送約款第15条第4項は、第15条第3項の規定により、引越し業者が適切な処分をした場合における、引越し業者の通知義務について規定している条項です。

標準引越運送約款第15条第4項(事故の際の措置)の条文

第15条(事故の際の措置)

1 当店は、荷物の全部の滅失を発見したときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

2 当店は、荷物の相当部分の滅失又は全部若しくは相当部分のき損を発見したとき、又は荷物の引渡しが見積書に記載した引渡日より遅延すると判断したときは、遅滞なく荷送人に対し、相当の期間を定め荷物の処分につき指図を求めます。

3 当店は、前項の場合において、指図を待ついとまがないとき、又は当店の定めた期間内に指図がないときは、荷送人の利益のために、当店の裁量によって運送の中止又は運送経路若しくは運送方法の変更その他の適切な処分をします。

4 当店は、前項の規定による処分をしたときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

5 第2項の規定にかかわらず、当店は運送上の支障が生ずると認める場合には、荷送人の指図に応じないことがあります。

6 当店は、前項の規定により指図に応じないときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

7 当店は、荷物の一部の滅失又はき損を発見したときは、荷送人の指図を求めずに運送を続行した上で、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

標準引越運送約款第15条第4項(事故の際の措置)の解説

趣旨

本項は、荷物の滅失・毀損・大幅な遅刻があった場合において、引越し業者が第15条第3項にもとづいて荷物の適切な処分をおこなったときに、引越し業者がその旨を荷物の搬出に立ち会った利用者(=荷送人)に通知すべき旨を規定しています。

荷物の滅失・毀損・大幅な遅刻があった場合において、荷物の搬出に立ち会った利用者(=荷送人)からの指図を待つ時間がないときや、引越し業者自身が第15条第2項により定めた期間内に荷送人からの指図がないときは、引越し業者は、第15条第3項にもとづいて、①運送の中止、②運送経路の変更、③運送方法の変更―などの適切な処分をおこなうことができます。

この処分をおこなった場合、引越し業者は、本項により、荷送人に対して、その処分をおこなった旨を通知しなければなりません。

遅滞なくとは

本項における「遅滞なく」とは、正当な理由がある場合に限り、多少の遅れが許されるものの、そうでない場合はすぐに、という意味です。

このため、引越し業者は、第15条第3項の処分をおこなった場合は、何らかのやむを得ない事情によって通知することができないときを除いて、すぐに荷送人に対して、この処分をおこなった旨を通知しなければなりません。

引越し業者のための注意点:事前承諾がないため必ず早く通知する

第15条第3項の処分は、からの指図を待つ時間がない場合や、荷送人からの指図がない場合の処分です。これは、いわば荷送人から事前承諾を得ていない処分であり、場合によってはクレームに繋がる可能性もあります。

このため、約款上の義務であるからという理由以前の問題として、利用者に事情を丁寧に説明し、クレームを防止するためにも、なるべく早く通知するべきです。

利用者のための注意点:こちらからも連絡を入れる

引越し業者が荷送人からの指図を待つ時間がないときは、第15条第3項の処分をおこなったことについては引越し業者にしかわかりませんので、利用者としては、引越し業者からの通知を待つしかありません。

ただ、第15条第2項により定めた期間内に利用者が指図しなかった場合は、期間が過ぎた後であっても、念のため引越し業者に連絡するべきです。

この際、引越し業者がまだ第15条第3項の処分をしていない場合は、引越し業者が指図に応じる可能性もありますし、すでに処分をした場合であっても、その処分の内容をすぐに聞くことができます。

最終更新日2011年10月20日