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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第15条第5項(事故の際の措置)

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本頁では、標準引越運送約款第15条第5項(事故の際の措置)について解説しています。

標準引越運送約款第15条第5項は、荷物の搬出に立ち会った利用者による第15条第2項の指図に対する引越し業者の拒否権について規定している条項です。

標準引越運送約款第15条第5項(事故の際の措置)の条文

第15条(事故の際の措置)

1 当店は、荷物の全部の滅失を発見したときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

2 当店は、荷物の相当部分の滅失又は全部若しくは相当部分のき損を発見したとき、又は荷物の引渡しが見積書に記載した引渡日より遅延すると判断したときは、遅滞なく荷送人に対し、相当の期間を定め荷物の処分につき指図を求めます。

3 当店は、前項の場合において、指図を待ついとまがないとき、又は当店の定めた期間内に指図がないときは、荷送人の利益のために、当店の裁量によって運送の中止又は運送経路若しくは運送方法の変更その他の適切な処分をします。

4 当店は、前項の規定による処分をしたときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

5 第2項の規定にかかわらず、当店は運送上の支障が生ずると認める場合には、荷送人の指図に応じないことがあります。

6 当店は、前項の規定により指図に応じないときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

7 当店は、荷物の一部の滅失又はき損を発見したときは、荷送人の指図を求めずに運送を続行した上で、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

標準引越運送約款第15条第5項(事故の際の措置)の解説

趣旨

本項は、運送上の支障が生ずるおそれがあると認める場合における、荷物の搬出に立ち会った利用者(=荷送人)からの第15条第2項の指図に対する、引越し業者の拒否権について規定しています。

引越し業者は、運送上の支障が生ずるおそれがあると自身が認める場合は、荷物の滅失・毀損・大幅な遅刻があった場合における、荷送人からの荷物の処分についての指図(第15条第2項参照)に応じないことができます。

本項では、「…おそれがある場合」ではなく、「…おそれがあると認める場合」となっています。このため、実質的には、引越し業者は、自身の判断・裁量で荷送人の指図を断ることができます。

引越し業者のための注意点:支障がない場合は引受ける

本項により、引越し業者は、第15条第2項にもとづく荷送人からの荷物の処分の指図を断ることができます。

ただ、「運送上の支障が生ずるおそれがあると認める場合」という条件がついていますので、格別支障がない限りは、荷送人の指図に従うべきです。

利用者のための注意点:実質的には引越し業者の裁量次第

第15条第2項では、荷送人による指図は、荷送人の権利であるかのように規定されています。ただ、本項により、その指図が実施されるかどうかは、実質的には引越し業者の裁量次第ということになります。このため、指図に対する過度の期待はできません。

最終更新日2011年10月20日