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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第15条第6項(事故の際の措置)

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本頁では、標準引越運送約款第15条第6項(事故の際の措置)について解説しています。

標準引越運送約款第15条第6項は、第15条第5項により、引越し業者が第15条第2項の指図を拒否した場合における引越し業者の通知義務について規定している条項です。

標準引越運送約款第15条第6項(事故の際の措置)の条文

第15条(事故の際の措置)

1 当店は、荷物の全部の滅失を発見したときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

2 当店は、荷物の相当部分の滅失又は全部若しくは相当部分のき損を発見したとき、又は荷物の引渡しが見積書に記載した引渡日より遅延すると判断したときは、遅滞なく荷送人に対し、相当の期間を定め荷物の処分につき指図を求めます。

3 当店は、前項の場合において、指図を待ついとまがないとき、又は当店の定めた期間内に指図がないときは、荷送人の利益のために、当店の裁量によって運送の中止又は運送経路若しくは運送方法の変更その他の適切な処分をします。

4 当店は、前項の規定による処分をしたときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

5 第2項の規定にかかわらず、当店は運送上の支障が生ずると認める場合には、荷送人の指図に応じないことがあります。

6 当店は、前項の規定により指図に応じないときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

7 当店は、荷物の一部の滅失又はき損を発見したときは、荷送人の指図を求めずに運送を続行した上で、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

標準引越運送約款第15条第6項(事故の際の措置)の解説

趣旨

本項は、第15条第5項にもとづいて、引越し業者が荷物の搬出に立ち会った利用者(=荷送人)からの第15条第2項の指図を断った場合に、引越し業者がその旨を荷送人に通知すべき旨を規定しています。

引越し業者は、第15条第5項により、荷物の滅失・毀損・大幅な遅刻があった場合における、荷送人からの荷物の処分についての指図(第15条第2項参照)に応じないことができます。

この際、本項により、引越し業者は、荷送人に対して、遅滞なく指図に応じない旨を通知しなければなりません。

遅滞なくとは

本項における「遅滞なく」とは、正当な理由がある場合に限り、多少の遅れが許されるものの、そうでない場合はすぐに、という意味です。

このため、引越し業者は、第15条第2項の指図を断った場合は、何らかのやむを得ない事情によって通知することができないときを除いて、すぐに荷送人に対して、この指図を断った旨を通知しなければなりません。

引越し業者のための注意点:緊急事態につき必ず通知する

第15条第2項の荷送人の指図は、荷物の滅失・毀損・大幅な遅刻があった場合に、引越し業者からの求めに応じておこなわれます。本項の通知は、このような緊急事態における荷送人からの指図を断る通知です。

このような緊急事態では、連絡を緊密に取ることが求められます。このため、荷送人の指図を断るにしても、すぐに通知をするべきです。そうしなければ、本項に違反することはもとより、利用者からのクレームに繋がる可能性があります。

利用者のための注意点:こちらからも積極的に連絡を取る

荷物の滅失・毀損・大幅な遅刻があるという状況は、いうまでもなく緊急事態といえます。このような状況では、引越し業者が指図に従うにしても、指図を断るにしても、結論をはっきりさせて、その結論の内容に応じて、早く行動に移さなければなりません。

ところが、引越し業者は、場合によっては、現場のスタッフやトラックのドライバーと支店との連絡が取りづらいこともあり、なかなか本項による通知がこないこともあります。

特に、長距離の引越しの場合でトラックが下請業者のときは、搬出先の支店、搬入先の支店、下請業者の事務所、下請業者のドライバーなど、当事者が複数出てきて、連絡体制が混乱することもあります。

このため、本項による引越し業者からの通知をあてにせずに、利用者の側からも、積極的に(ただし引越し業者の業務の妨げにならない程度に)連絡を取るべきです。

最終更新日2011年10月20日