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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第21条第1項(解約手数料又は延期手数料等)

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本頁では、標準引越運送約款第21条第1項(解約手数料又は延期手数料等)について解説しています。

標準引越運送約款第21条第1項は、引越し業者による解約手数料・延期手数料の請求について規定している条項です。

標準引越運送約款第21条第1項(解約手数料又は延期手数料等)の条文

第21条(解約手数料又は延期手数料等)

1 当店が、解約手数料又は延期手数料を請求する場合は、その解約又は受取日の延期の原因が荷送人の責任によるものであって、解約又は受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前々日、前日又は当日に行われたときに限ります。ただし、第3条第7項の規定による確認を行わなかった場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません。

2 前項の解約手数料又は延期手数料の額は、次の各号のとおりとします。

(1)見積書に記載した受取日の前々日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積運賃等(料金にあっては、積込み、取卸し、搬出、搬入、荷造り及び開梱に要するものに限る。次号及び第3号において同じ。)の20パーセント以内

(2)見積書に記載した受取日の前日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積運賃等の30パーセント以内

(3)見積書に記載した受取日の当日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積運賃等の50パーセント以内

3 解約の原因が荷送人の責任による場合には、解約手数料とは別に、当店が既に実施し、又は着手した附帯サービスに要した費用(見積書に明記したものに限る。)を収受します。

4 第1項ただし書の規定は、前項の費用の収受について準用します。

標準引越運送約款第21条第1項(解約手数料又は延期手数料等)の解説

趣旨

本項は、引越し業者による解約手数料・延期手数料の請求権の要件を規定しています。

引越し業者は、次の要件を充たした場合、利用者に解約手数料・延期手数料を請求することができます。

  1. 解約または受取日の延期の原因が荷送人の責任によるものであること
  2. 解約または受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前々日、前日または当日におこなわれたこと
  3. 第3条第7項の規定による確認をおこなったこと(ただし書き)

この点について、標準引越運送約款には、明文の規定として、解約権が規定されているわけではありません。このため、本来であれば、原則として、引越し業者・利用者ともに、契約を解約をすることができません。

しかしながら、本項の規定により、利用者は、解約手数料を支払うことによる解約ができるものと解釈できます。同様に、利用者は、延期手数料を支払うことにより、延期ができるものと解釈できます。

なお、具体的な解約手数料・延期手数料の金額については、第21条第2項で規定しています。

引越し業者のための注意点:必ず第3条第7項の規定による確認をする

引越し業者としては、本項があるため、利用者による解約・延長そのものを制限することは難しいものと思われます。

このため、利用者からの解約・延長の請求があった場合に、損失を最低限に抑えるためにも、解約手数料・延期手数料を請求できるようにしておかなければなりません。つまり、本項により、解約手数料・延期手数料の要件を充たすことが重要となります。

この点について、本項ただし書き=上記の3、つまり第3条第7項の規定による確認を忘れないようにしておく必要があります。この確認をおこなっていないと、利用者に対して、解約手数料・延期手数料の請求ができません。また、実施済みまたは着手済みの費用についても請求できません(第21条第4項参照)。

なお、実際に解約手数料・延期手数料を請求するためには、実際に第3条第7項の規定による確認をおこなった、という証拠が必要となる可能性があります。このため、可能な限り、メールや録音できる電話などを使って確認することにより、証拠を残しておくべきです。

利用者のための注意点:受取日の3日前までは無料で解約・延期はできる

本項により、利用者は、引越しサービスの契約を解除したり、引越しの搬出作業の開始日を延期したりすることができます。ただし、上記の3つの要件を充たした場合は、引越し業者から解約手数料・延期手数料を請求される可能性があります。

この点について、特に上記の2、つまり「解約または受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前々日、前日または当日におこなわれたこと」が重要となります。これは、言い換えれば、「見積書に記載した受取日の前々日、前日または当日」よりも前に解約・延期をすれば、解約手数料・延期手数料は発生しません。

つまり、見積書に記載した受取日の3日前までは、無料で解約・延期ができることになります。

ただし、引越し作業当日までになんらかの附帯サービスが実施され、または着手されている場合は、その費用を請求される可能性があります(第21条第3項参照)。このため、解約・延長の可能性があるのであれば、いつ解約・延期を申し出るのかも重要ですが、附帯サービスが実施されたかどうかにも注意を要します。

なお、本項および第21条第4項により、第3条第7項の規定による確認(搬出作業開始日2日前までの見積内容の変更の有無の確認)があることは、解約手数料・延期手数料・実施済みまたは着手済みの付帯サービスの費用が請求される条件を充たすことになります。

このため、この確認があった後は、解約・延期によって、なんらかの費用が発生する可能性があるものと考えるべきです。

最終更新日2011年10月20日