現在の閲覧ページ

トップページ > 条文解説(目次) > 第5章 荷物の引渡し(目次) > 標準引越運送約款第12条第3項(引渡しができない荷物の処分)

標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第12条第3項(引渡しができない荷物の処分)

スポンサード リンク

本頁では、標準引越運送約款第12条第3項(引渡しができない荷物の処分)について解説しています。

標準引越運送約款第12条第3項は、第12条第1項の処分に要した費用の負担について規定している条項です。

標準引越運送約款第12条第3項(引渡しができない荷物の処分)の条文

第12条(引渡しができない荷物の処分)

1 当店は、相当の期間内に前条第1項に規定する指図がないときは、荷物を倉庫営業者に寄託し又は供託し若しくは競売することがあります。

2 前項の規定による処分を行ったときは、遅滞なくその旨を荷送人又は荷受人に対して通知します。

3 第1項の規定による処分に要した費用は、荷送人の負担とします。

4 当店は、第1項の規定により競売したときは、その代価の全部又は一部を運賃等並びに指図の請求及び競売に要した費用に充当し、不足があるときは、荷送人にその支払を請求し、余剰があるときは、これを荷送人に交付し、又は供託します。

標準引越運送約款第12条第3項(引渡しができない荷物の処分)の解説

趣旨

本項は、第12条第1項の処分に要した費用を荷物の搬出に立ち会った利用者(=荷送人)が負担するべきことが規定されています。

もともと、第12条第1項の処分(倉庫業者への寄託、法務大臣指定の倉庫業者への供託、競売)は、第11条第1項により、引越し業者が利用者に対して荷物を引渡すことができない場合におこなう処分です。

これは、いわば利用者側の一方的な事情が原因ですので、当然ながら、その費用は、利用者(=荷送人)が負担するべきものです。

引越し業者のための注意点:費用倒れに注意

引越し業者としては、本項により、第12条第1項の処分の費用は荷送人に請求することができます。

ただ、荷送人に請求するまでは、引越し業者が建て替えることになります。その結果、保管料が回収できない場合は、費用倒れとなる可能性があります。

また、動産競売を申し立てた場合は、よほど高額な荷物を所有している利用者でない限り、費用倒れとなる可能性もあります(そもそも、そのような利用者が音信不通になったり、受取拒否をしたりすることは滅多にないものと思われます)。

このため、本項にもとづき費用を請求できるとはいえ、実際に費用が回収できない可能性も考慮して荷物の処分をおこなうべきです。

利用者のための注意点:意外に高くつくことも

本項により、倉庫営業者や裁判所に支払う保管料や競売手数料は、利用者(=荷送人)の負担となります。このうち、保管料は、荷物の量、保管日数、移動距離、倉庫への搬出・搬入の手間にもよりますが、意外に高くつく可能性もあります。

このため、なるべく本項により費用を請求されることがないように、荷物は従来の予定どおり受け取るべきです。

最終更新日2011年10月20日