標準引越運送約款条文解説
標準引越運送約款第12条第4項(引渡しができない荷物の処分)
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本頁では、標準引越運送約款第12条第4項(引渡しができない荷物の処分)について解説しています。
標準引越運送約款第12条第4項は、第12条第2項の競売の代金の取扱いについて規定している条項です。
標準引越運送約款第12条第4項(引渡しができない荷物の処分)の条文
第12条(引渡しができない荷物の処分)
1 当店は、相当の期間内に前条第1項に規定する指図がないときは、荷物を倉庫営業者に寄託し又は供託し若しくは競売することがあります。
2 前項の規定による処分を行ったときは、遅滞なくその旨を荷送人又は荷受人に対して通知します。
3 第1項の規定による処分に要した費用は、荷送人の負担とします。
4 当店は、第1項の規定により競売したときは、その代価の全部又は一部を運賃等並びに指図の請求及び競売に要した費用に充当し、不足があるときは、荷送人にその支払を請求し、余剰があるときは、これを荷送人に交付し、又は供託します。
標準引越運送約款第12条第4項(引渡しができない荷物の処分)の解説
趣旨
本項は、引越し業者による、第12条第2項の競売による荷物の代金の清算について規定しています。
第12条第2項の競売をおこなった場合、引越し業者は、まずはその代金で運賃等や第12条第1項の指図の請求・競売にかかった費用を清算し、その後で、利用者に対する不足分の請求または余剰分の返還もしくは供託をおこないます。
ここでいう供託とは、法務局等の供託所に金銭を預けることをいいます。
引越し業者のための注意点:余剰が生じるのであれば競売を検討する
本項により、引越し業者は、競売の代金を運賃等や指図の請求・競売の費用の支払いに充てることができます。
その後、まだ足りない場合は、その不足分を搬出に立ち会った利用者(=荷送人)に請求することができますし、余った場合は、その余剰分を荷送人に返還しなければなりません。また、荷送人が音信不通である場合は、供託所に供託することもできます。
このため、引越し業者は、利用者に荷物を引渡すことができない場合であっても、丸損になることはありません。ただし、当然ながら高額な家財道具がない限り費用倒れとなる可能性がありますので、競売は、あくまで余剰が生じる可能性がある場合におこなうべきです。
利用者のための注意点:荷物は返ってこない
競売がおこなわれた場合、本項に従って金銭的な清算がおこなわれます。このため、荷物は帰ってきません(取り返すためには、競売で落札した人から買い戻す必要があります)。
また、一般的な傾向として、競売による売却処分では、かなり安く落札される傾向があるため、利用者にとってはいいことがありません。このため、競売となるようなことはなるべく避けるべきです。