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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第24条第2項(引受制限荷物等に関する特則)

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本頁では、標準引越運送約款第24条第2項(引受制限荷物等に関する特則)について解説しています。

標準引越運送約款第24条第2項は、一部の荷物に関する引越し業者の損害賠償の例外について規定している条項です。

標準引越運送約款第24条第2項(引受制限荷物等に関する特則)の条文

第24条(引受制限荷物等に関する特則)

1 第4条第2項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。

2 貴重品、壊れやすいもの、変質又は腐敗しやすいもの等運送上の特段の注意を要する荷物(第4条第2項各号に掲げるものを除く。)については、荷送人が第8条第1項の規定によるその有無の申告をせず、かつ、当店が過失なくしてその存在を知らなかった場合は、当店は、運送上の特段の注意を払わなかったことにより生じた当該荷物の滅失若しくはき損又は当該荷物により生じた他の荷物の滅失、き損若しくは遅延について、損害賠償の責任を負いません。

標準引越運送約款第24条第2項(引受制限荷物等に関する特則)の解説

趣旨

本項は、引越し業者が例外として損害賠償責任を負わないものとして、一部の事故の発生しやすい荷物についての特則を規定しています。

引越し業者は、壊れやすいもの、変質や腐敗しやすいものなど、運送上の特段の注意を要する荷物のうち、第4条第2項各号に該当しないものについては、次のすべての条件を充たした場合は、その荷物そのものや他の荷物の滅失・毀損、作業の遅れなどの事故が発生したとしても、運送上の特段の注意を払わなかったことによって発生した損害賠償の責任を負いません。

  1. 荷物の搬出に立ち会った利用者が第8条第1項の規定により本項の運送上の特段の注意を要する荷物の有無の申告をしなかったこと
  2. 引越し業者が過失なくして本項の運送上の特段の注意を要する荷物の存在を知らなかったこと

引越し業者のための注意点:通常の不注意は本項の対象外

本項により、引越し業者は、上記の条件を充たすことにより、運送上の特段の注意を要する荷物に関して発生した事故(他の荷物に発生したものや作業の遅れを含む)については、免責される可能性があります。

ただ、本項により免責される事故は、「運送上の特段の注意を払わなかったことにより生じた」事故です。つまり、本来は「運送上の特段の注意を要する荷物」であるにもかかわらず、それと知らずに、その荷物について「運送上の特段の注意を払わなかったことにより」発生した事故が対象となります。

このため、「運送上の特段の注意を要する荷物」であることを知らない場合であっても、「「運送上の特段の注意」を払わないことによる事故については免責されますが、「運送上の特段でない注意」(=通常の注意)を払わないことによる事故については免責されません。

例えば、段ボールの荷物の中に、ヒビが入った割れやすい壺があることを知らなかった場合、通常の壺と同じ程度の注意を払って特に事故もなく運んだときは、たとえその壺が割れたとしても、本項により免責されます。

しかし、不注意で段ボールを落としてしまった場合は、「運送上の特段の注意を払わなかったことにより生じた」事故ではなく、「運送上の特段でない注意」を払わなかったことにより生じた事故ですから、本項の対象外となります。

利用者のための注意点:正直に申告すること

第8条第1項の規定による申告の際、利用者が本項の運送上の特段の注意を要する荷物の有無の申告をしなかった場合、その荷物に事故が発生したとしても、本項により、引越し業者の免責の対象となり、損害賠償の請求ができない可能性があります。

このため、もし荷物の中に運送上の特段の注意を要する荷物がある場合は、正直に引越し業者にその旨を申告し、対応を話しあうべきです。

なお、虚偽の申告をした場合(本当は運送上の特段の注意を要する荷物があるにもかかわらず、ないと申告した場合)は、その申告は真正な申告ではないため、申告をしなかったものと考えられます。このため、本項の「申告をせず」に該当するものと思われます。

この場合、申告をしなかった場合と同様に、運送上の特段の注意を要する荷物に事故が発生したとしても、引越し業者の免責の対象となり、損害賠償の請求ができない可能性があります。

最終更新日2011年10月20日