現在の閲覧ページ

トップページ > 条文解説(目次) > 第9章 責任(目次) > 標準引越運送約款第25条第2項(責任の特別消滅事由)

標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第25条第2項(責任の特別消滅事由)

スポンサード リンク

本頁では、標準引越運送約款第25条第2項(責任の特別消滅事由)について解説しています。

標準引越運送約款第25条第2項は、引越し業者が知りながら引き渡した一部の荷物の滅失・毀損に対する責任の特則について規定している条項です。

標準引越運送約款第25条第2項(責任の特別消滅事由)の条文

第25条(責任の特別消滅事由)

1 荷物の一部の滅失又はき損についての当店の責任は、荷物を引き渡した日から3月以内に通知を発しない限り消滅します。

2 前項の規定は、当店がその損害を知って荷物を引き渡した場合には、適用しません。

標準引越運送約款第25条第2項(責任の特別消滅事由)の解説

趣旨

本項は、荷物の一部の滅失・毀損についての引越し業者の責任のうち、引越し業者がその滅失・毀損を知って引き渡した場合の特則を規定しています。

引越し業者が荷物の一部の滅失・毀損を知りながらその荷物を利用者に引き渡した場合、第24条第1項の規定は適用されません。

このため、利用者は、債務不履行責任の請求権の消滅時効(民法第167条第1項参照)にかかるまで、つまり10年間、引越し業者に対して責任を追求することができます。

引越し業者のための注意点:隠さずに通知する

本項により、一部の荷物の滅失・毀損を知っていながらその荷物を引き渡した場合は、引越し業者は、10年間の消滅時効にかかるまで、責任を追求される可能性があります(第27条第3項参照)。

このため、事故があった際には、素直に利用者に通知し、謝罪のうえ、補償交渉をおこなうべきです。

利用者のための注意点:なるべく3ヶ月以内に通知する

本項により、引越し業者が一部の荷物の滅失・毀損を知っていながらその荷物を引き渡した場合は、引き渡しの日から3ヶ月以内(第24条第1項参照)に通知しなかったとしても、利用者は、引越し業者の責任を追求することができます。

しかしながら、引越し業者が「その損害を知って荷物を引き渡した」ことを実際に立証することは、引越し業者の作業員の内心(=損害を知っていたこと)を立証しなければならないため、極めて困難です。

このため、実際に事故があった場合は、なるべく第24条第1項の規定により、引き渡しの日から3ヶ月以内に引越し業者に対して通知するようにするべきです。

本項は、あくまで引き渡しの日から3ヶ月経過してから、明らかに引越し業者が知っていたであろう事故等の責任を追求する場合など、やむを得ない状況に利用するものと考えるべきです。

最終更新日2011年10月20日