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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第13条第2項(指図)

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本頁では、標準引越運送約款第13条第2項(指図)について解説しています。

標準引越運送約款第13条第2項は、荷物の搬出に立ち会った利用者が行使できる、第13条第1項に規定する指図にもとづく権利の消滅について規定している条項です。

標準引越運送約款第13条第2項(指図)の条文

第13条(指図)

1 荷送人は、当店に対し、荷物の運送の中止、返送、転送その他の処分につき指図をすることができます。

2 前項に規定する荷送人の権利は、荷受人に荷物を引き渡した時に消滅します。

標準引越運送約款第13条第2項(指図)の解説

趣旨

本項は、第13条第1項に規定する荷物の搬出に立ち会った利用者(=荷送人)の権利の消滅の時期について規定しています。

荷送人が行使できる、荷物の運送の中止、返送、転送その他の処分の指図(第13条第1項参照)の権利は、引越し業者が荷物の搬入に立ち会った利用者(=荷受人)に対して荷物を引き渡した時点で消滅します。

引越し業者のための注意点:荷物を引き渡したらサービスは終了

本項は、第13条第1項の指図による荷送人の権利の消滅のみを規定していますが、この権利に限らず、荷物の引渡しの時点で、運送そのものについての利用者の権利は消滅します。

標準引越運送約款にもとづく運送契約は請負契約(民法第632条参照)であり、請負契約は、仕事の完成を目的とした契約です。このため、引越し業者による仕事の完成(荷物の引渡し)という義務の履行があった場合は、その時点で、それに対応する利用者の権利も当然に消滅します。

このため、本項の権利に限らず、運送という仕事の完成を要求できる利用者の権利そのものも、引渡しがあった時点で消滅すると解釈できます。

ただし、いわゆる「瑕疵担保責任」(=事故の補償など(第25条第1項第27条第1項参照)。民法第634条以下参照)にもとづく利用者の請求権や損が賠償請求権(第26条第1項参照)は、仕事の完成によっては消滅しませんので、注意を要します。

利用者のための注意点:荷物を受け取ったら変更はできない

本項により、引越し業者に対する利用者の指図の権利(第13条第1項参照)は、利用者が荷物を受け取った時点で消滅します。このため、いったん荷物を受け取ってしまうと、荷物の運送の中止、返送、転送その他の処分の請求はできなくなります。

どうしてもこれらの請求をおこないたい場合は、新しく契約を結びなおして、別料金を支払ったうえで対応してもらうことになります。もっとも、第13条第1項にもとづくこれらの請求も、結局は追加料金の原因となりますので、いずれにせよ、引越し業者に無料で対応してもらうことはできません。

この点から、利用者にとっては、本項は、実質的にはあまり意味が無い規定であるともいえます。

最終更新日2011年10月20日