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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第16条第1項(危険品等の処分)

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本頁では、標準引越運送約款第16条第1項(危険品等の処分)について解説しています。

標準引越運送約款第16条第1項は、運送途上において危険品等を発見した場合における引越し業者の処分について規定している条項です。

標準引越運送約款第16条第1項(危険品等の処分)の条文

第16条(危険品等の処分)

1 当店は、荷物が危険品等他の荷物に損害を及ぼすおそれのあるものであることを運送の途上で知ったときは、荷物の取卸しその他運送上の損害を防止するための処分をします。

2 前項に規定する処分に要した費用は、荷送人の負担とします。

3 当店は、第1項の規定による処分をしたときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

標準引越運送約款第16条第1項(危険品等の処分)の解説

趣旨

本項では、引越し業者が運送の途中で危険品等を発見した場合の荷物の処分について規定しています。

引越し業者は、荷物の中に、危険品などの他の荷物に損害を及ぼす可能性があるものを運送の途中で、発見した場合は、その危険品などを取卸し(「取降ろし」か?)たりして、運送上の損害を防止するための処分をします。

「運送の途上で知ったとき」となっていますので、本項は、あらかじめ知っている危険品等の荷物については適用されないものと思われます。

また、文末が「処分をします。」となっているため、本項が引越し業者の権利=処分することができる(=処分する義務はない)のか、引越し業者の義務=必ず処分しなければならないのかは、必ずしも明らかではありません。

引越し業者のための注意点:危険品等を発見したら適切に対応する

すでに述べたとおり、本項は、引越し業者の権利を規定したものか、または義務を規定したものかは、必ずしも明らかではありません。

ただ、どちらに解釈できるにせよ、実際に危険品等を発見した場合に、取卸し等の対処をしたとしても、特に本項に違反することとはなりません。逆に、何も対処をしないと、本項が引越し業者の義務と解釈された場合に、本項に違反することとなります。

このため、約款を遵守するという意味では、危険品等を発見した場合は、取卸し等の適切な対処をするべきです。この際、費用については、利用者負担となりますので、問題ありません(第16条第2項参照)。

また、安全に運送する意味でも、無事故に引越しを終わらせる意味でも、危険品等を発見した場合は、適切に対処するべきです。

なお、危険品等が荷物にあることを知っていたにもかかわらず、何も対処しなかったということになれば、いかに免責規定(第23条第24条第1項第24条第2項参照)があるとはいえ、本項違反として、損害賠償の対象となる可能性もあります。

利用者のための注意点:危険品等は梱包しない

危険品等が引越し業者によって発見された場合は、本項により、運んでいる途中で降ろされ、場合によっては廃棄処分にされてしまう可能性があります。また、その費用は、利用者の負担となります(第16条第2項参照)。

この他、危険品については、事故が発生したとしても、補償の対象外(第23条第24条第1項第24条第2項参照)となる可能性が高いため、荷物として梱包するメリットがほとんどありません。このため、危険品等は梱包するべきではありません。

特に、灯油などは、ストーブに入れたままうっかりと梱包してしまいがちですから、しっかりと抜いてガソリンスタンドなどで処分してもらったり、使いきって空焚きをしたりするなどして、対処してください。この際、念のため、ストーブの点火に使う電池も抜いておくべきです。

最終更新日2011年10月20日