標準引越運送約款条文解説
標準引越運送約款第20条第5項(事故等と運賃、料金)
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本頁では、標準引越運送約款第20条第5項(事故等と運賃、料金)について解説しています。
標準引越運送約款第20条第5項は、本項は、第20条第1項・第20条第2項・第20条第4項の場合における金銭の清算について規定している条項です。
標準引越運送約款第20条第5項(事故等と運賃、料金)の条文
第20条(事故等と運賃、料金)
1 当店は、第13条第1項の規定により処分をしたときは、その処分に要する運賃、料金その他の費用を収受し、並びに当店が既に行った運送及びこれに附帯するサービスに要した運賃等を収受します。
2 当店は、第15条第2項及び第3項の規定により処分をしたときは、事故等が荷送人の責任による事由又は荷物の性質若しくは欠陥により生じた場合に限り、その処分に要する運賃、料金その他の費用を収受します。
3 当店は、荷物の一部の滅失若しくはき損又は遅延が生じた場合において申込みに係る運送を続行した場合は、運賃等の全額を収受します。
4 当店は、第15条第1項に規定する荷物の全部の滅失又は同条第2項に規定する荷物の相当部分の滅失又は全部若しくは相当部分のき損が生じた場合は、当該事故が荷送人の責任による事由又は荷物の性質若しくは欠陥により生じた場合に限り、当店が既に行った運送及びこれに附帯するサービスに要した運賃等を収受します。
5 第1項、第2項及び第4項の場合において、当店が既にその荷物について運賃等の全部又は一部を収受している場合には、第1項、第2項又は第4項の規定により当店が収受することとしている金額に充当し、余剰があるときは払い戻します。
標準引越運送約款第20条第5項(事故等と運賃、料金)の解説
趣旨
本項は、引越し業者が第20条第1項・第20条第2項・第20条第4項にもとづいて金銭を請求できる場合において、すでに運賃等を受け取っていたときにおける金銭の清算について規定しています。
引越し業者は、第20条第1項・第20条第2項・第20条第4項にもとづいて費用や運賃等を追加で請求できる場合において、あらかじめ運賃等の支払いを受けていたときは、運賃等を追加の費用や運賃等に充当し、余剰があったときに限り、利用者に対して返還しなければなりません。、
引越し業者のための注意点:通算して清算しても構わない
本項により、引越し業者は、サービスの変更や利用者の責任等による事故(第20条第1項・第20条第2項・第20条第4項参照)にもとづく費用などの追加料金の請求について、すでに支払いを受けた運賃等の金銭を充当し、通算して清算することができます。
本項があるため、一般的な引越し業者は、運賃等はなるべく早く支払ってもらっています。具体的には、荷物の搬出作業を始める前、遅くとも荷物の搬出作業が終わった時点で、運賃等の支払いを受けます。
利用者のための注意点:個々の対応はできない
本項により、サービスの変更や利用者の責任等による事故(第20条第1項・第20条第2項・第20条第4項参照)にもとづく費用などの追加料金等の請求があった場合、利用者がすでに支払った運賃等の金銭がその請求に充当され、通算されて清算されます。
つまり、サービスの変更や利用者の責任等による事故にもとづく追加料金の清算と、すでに支払った運賃等の清算とを個々に処理することはできません。
このため、引越し業者による、サービスの変更や利用者の責任等による事故にもとづく追加料金等に不満があったとしても、すでに支払った運賃等がある場合は、その運賃等から追加料金が差し引かれることになります。
引越し業者にこの清算をさせないためには、運賃等の支払いを搬入作業が終わった時点とする必要があります。ただ、運賃等の支払期限は、原則として搬出作業が始まる時点(第19条第1項)ですので、現実には、対応が難しいものと思われます。