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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第20条第2項(事故等と運賃、料金)

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本頁では、標準引越運送約款第20条第2項(事故等と運賃、料金)について解説しています。

標準引越運送約款第20条第2項は、第15条第2項および第15条第3項の規定による処分の費用の支払いについて規定している条項です。

標準引越運送約款第20条第2項(事故等と運賃、料金)の条文

第20条(事故等と運賃、料金)

1 当店は、第13条第1項の規定により処分をしたときは、その処分に要する運賃、料金その他の費用を収受し、並びに当店が既に行った運送及びこれに附帯するサービスに要した運賃等を収受します。

2 当店は、第15条第2項及び第3項の規定により処分をしたときは、事故等が荷送人の責任による事由又は荷物の性質若しくは欠陥により生じた場合に限り、その処分に要する運賃、料金その他の費用を収受します。

3 当店は、荷物の一部の滅失若しくはき損又は遅延が生じた場合において申込みに係る運送を続行した場合は、運賃等の全額を収受します。

4 当店は、第15条第1項に規定する荷物の全部の滅失又は同条第2項に規定する荷物の相当部分の滅失又は全部若しくは相当部分のき損が生じた場合は、当該事故が荷送人の責任による事由又は荷物の性質若しくは欠陥により生じた場合に限り、当店が既に行った運送及びこれに附帯するサービスに要した運賃等を収受します。

5 第1項、第2項及び第4項の場合において、当店が既にその荷物について運賃等の全部又は一部を収受している場合には、第1項、第2項又は第4項の規定により当店が収受することとしている金額に充当し、余剰があるときは払い戻します。

標準引越運送約款第20条第2項(事故等と運賃、料金)の解説

趣旨

本項は、引越し業者が、第15条第2項および第15条第3項の規定による処分をおこなった場合における、処分の費用の請求権について規定している条項です。

引越し業者が第15条第2項および第15条第3項の規定により、「荷物の相当部分の滅失又は全部若しくは相当部分のき損」に対応するための処分をおこなった場合、本項にもとづき、荷物の搬出に立ち会った利用者(=荷送人)に対し、その処分に要する運賃、料金その他の費用を請求することができます。

ただ、本項にもとづき引越し業者が荷送人に対して費用を請求できるのは、「事故等が荷送人の責任による事由又は荷物の性質若しくは欠陥により生じた場合」に限ります。

このため、事故等が引越し業者の責任によって発生した場合などには、引越し業者は、荷送人に対して、費用を請求できません。

なお、本項が規定される場合(引越し業者が「荷物の相当部分の滅失又は全部若しくは相当部分のき損を発見したとき」)における、すでにおこなった運送とこれに附帯するサービスに要した運賃等の取扱いについては、第20条第4項に規定しています。

引越し業者のための注意点:追加料金は利用者に責任がある場合等に限る

本項により、引越し業者が「荷物の相当部分の滅失又は全部若しくは相当部分のき損を発見したとき」に、その対応のための処分をおこなったとしても、荷送人に対して、追加料金を請求できることができます。

ただ、すでに述べたとおり、これは、あくまで「事故等が荷送人の責任による事由又は荷物の性質若しくは欠陥により生じた場合」に限った話です。当然ながら、事故等が引越し業者の責任によって生じた場合は、運賃等の請求はできませんし、それどころか、損害賠償の対象となります。

このため実際に追加料金を請求する際は、事故等について、荷送人に責任があるか、または荷物の性質・欠陥によるものか、ということを荷送人に認めてもらう必要があります。

つまり、裁判でも起こさない限り、実質的には、話合いで追加料金の有無を決定することになります。

利用者のための注意点:事故の原因となる荷物は梱包しない

本項により、荷物の相当部分の滅失・荷物の全部または相当部分の毀損の原因が利用者の責任や荷物の性質・欠陥である場合、第15条第2項および第15条第3項の引越し業者の処分には、追加料金や費用が発生することもあります

このため、荷物の滅失・毀損事故の原因となるような荷物(可燃性の燃料・爆発物など)を梱包するべきではありません。

また、このような利用者の責任等により荷物の滅失・毀損事故があった場合は、引越し業者の免責事項(第23条参照)に該当しますので、補償の対象となりません。この点からも、事故の原因となる荷物は梱包するべきではありません。

最終更新日2011年10月20日