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標準引越運送約款条文解説

標準引越運送約款第16条第3項(危険品等の処分)

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本頁では、標準引越運送約款第16条第3項(危険品等の処分)について解説しています。

標準引越運送約款第16条第3項は、第16条第1項により、引越し業者が荷物の処分をした場合における、引越し業者の通知義務について規定している条項です。

標準引越運送約款第16条第3項(危険品等の処分)の条文

第16条(危険品等の処分)

1 当店は、荷物が危険品等他の荷物に損害を及ぼすおそれのあるものであることを運送の途上で知ったときは、荷物の取卸しその他運送上の損害を防止するための処分をします。

2 前項に規定する処分に要した費用は、荷送人の負担とします。

3 当店は、第1項の規定による処分をしたときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

標準引越運送約款第16条第3項(危険品等の処分)の解説

趣旨

本項は、荷物に危険物等があることが運送途中に発覚した場合において、引越し業者が第16条第1項にもとづいて荷物の処分をおこなったときに、引越し業者がその旨を荷物の搬出に立ち会った利用者(=荷送人)に通知すべき旨を規定しています。

運送途中に、荷物の中に他の荷物に損害を及ぼすおそれのある危険物等があることが発覚した場合、引越し業者は、第16条第1項にもとづいて、荷物の取卸しなどの処分をおこなうことができます。

この処分をおこなった場合、引越し業者は、本項により、荷送人に対して、その処分をおこなった旨を通知しなければなりません。

遅滞なくとは

本項における「遅滞なく」とは、正当な理由がある場合に限り、多少の遅れが許されるものの、そうでない場合はすぐに、という意味です。

このため、引越し業者は、第16条第1項の処分をおこなった場合は、何らかのやむを得ない事情によって通知することができないときを除いて、すぐに荷送人に対して、この処分をおこなった旨を通知しなければなりません。

引越し業者のための注意点:なるべく事前にも通知する

本項は、事後の通知を規定したものです。本項にもとづき、事後に通知した場合は、一応は約款に違反することにはなりません。ただ、これでは、いわば荷送人に通知もせず、事前承諾を得ずに第16条第1項の処分をおこなうことになります。

いかに約款上は問題ないとはいえ、事前の承諾を得ていない場合は、利用者の所有物を勝手に処分するのでは、場合によってはクレームに繋がる可能性もあります。

このため、緊急かつやむを得ない場合を除いて、なるべく事前に利用者に対して事情を丁寧に説明し、できれば承諾を得たうえで第16条第1項の処分をおこない、そのうえで、本項にもとづき、早く通知するべきです。

利用者のための注意点:危険品等は梱包しない

第16条第1項により危険品等を処分したかどうかは、引越し業者にしかわかりませんので、利用者としては、引越し業者からの通知を待つしかありません。なお、この処分に要した費用は、利用者の負担となります(第16条第2項参照)。

この他、危険品については、事故が発生したとしても、補償の対象外(第23条第24条第1項第24条第2項参照)となる可能性が高いため、荷物として梱包するメリットがほとんどありません。このため、危険品等は梱包するべきではありません。

特に、灯油などは、ストーブに入れたままうっかりと梱包してしまいがちですから、しっかりと抜いてガソリンスタンドなどで処分してもらったり、使いきって空焚きをしたりするなどして、対処してください。この際、念のため、ストーブの点火に使う電池も抜いておくべきです。

最終更新日2011年10月20日